2011年9月12日月曜日

第2回 家庭医療サマー・フォーラムin福島2011@いわき

あっという間の2日間。
9月10・11日に行われたいわきでのサマーフォーラムが無事終わった。
準備に関わったすべてのみんなと、会を大いに盛り上げてくださった参加者の皆さんに敬意を表したい。

岩田健太郎先生をお迎えするにあたり、いわきが誇る「メヒコ」いわきフラミンゴ館で、ウェルカムランチョンセミナーを行ったわけだが、

「こんなに近くでフラミンゴを観る時が来るとは・・・」

とやや興奮気味に語りカニピラフを召し上がる岩田先生のお口と、ガラス越しのフラミンゴの肛門との距離は、40cm未満だったかもしれない。

メキシコ料理が置いてない「メヒコ」、ラーメンよりも焼肉定食が定番な「どさんこラーメン」、東北に「ハワイ」、レストランにフラミンゴ。
この唐突さにしびれたらしく、岩田先生から「いわき深いね~」と最大限の賛辞をいただいた。

さあ!
フォーラムの始まり。

「私たちは、震災後の6ヶ月で涙もろくなりました。しかし、その分強くなりました」

という葛西教授の言葉でフォーラムは幕を開けた。


1日目>
①特別講演プライマリ・ケアでの感染症診療岩田健太郎先生
(神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授)
インフルエンザのマネジメント、被災地での洗浄、消毒の考え方などを含め、フロアからの日常診療上の疑問をベースに明快なご回答をいただいた。

まったく台本なしの荒技。
すべて質疑応答の濃い90分であった。
どんな質問においても、その歴史から最新のエビデンスまでを網羅した回答で、本当に勉強になった。質問の内容はさまざまであったが、岩田先生のご回答から、一貫して

「物事の本質を見失わないで!」

という強いメッセージを感じた。
病気の断片にとらわれ過ぎて、とかく手段が目的に誤認されがちになる現代の診療の現場をズバッと一刀両断していただいた気がした。

「所詮フラガールの前座」と自虐謙遜される岩田先生の気さくさに惚れた。

決して前座じゃなくてスペシャルゲストですよ~

Reflection of the Month 後期研修2年目 山入端 浩之
「慢性疾患の家族アセスメント」
患者と家族に対して疾患だけでなく、心理・社会的にもバランスよくケアするための方法を多職種間で議論した。

Cinemeducation 葛西龍樹 主任教授
フラガール2006
いわずと知れた、いわきが誇る名映画。
危機的状況における人々の葛藤を通して、同じく災害による危機に瀕しているいわき(福島)の再生と復興への努力の重要性を確認した。
どのシーンを観ても5分ともたない涙腺。
おのれの前頭葉の機能不全を感じた。

さあ、おまちかねの懇親会。

神々しきフラの動きに鳥肌が立つ。
そしてみんな真剣にフラ体験し、熱い熱い懇親会はあっという間に過ぎていった。


ホテルに入り、恒例の二次会は・・・

ムフフ・・・

噂によると客室でないところで朝を迎えた者もいるそうだが、真実は定かではない。
少なくも「家庭医は夜育つ」という格言は正しいようだ。

翌朝、心地よい気だるさ。
無残にも三角形に削り取られた照島を露天から眺めながらの朝風呂。
海鵜が生息できる場所は残っていないかもしれない。
あらためて津波の爪痕を痛感する。

2日目>
④考える診断学 助教 石井 敦
症例の模擬診断体験を通して、痛みの特徴をとらえるツールとしての「OPQRST」と、悪性疾患と決めつける前に、根治可能な良性疾患を見逃さないことの重要性を紹介した。
詳細な医療面接と、鑑別診断を丁寧に吟味することの威力を再認識した。

Reflection of the Month  後期研修4年目 星 吾朗
Genogram 家族図」について
家族志向ケアにおけるツールとしての家族図の書き方から、その有用性についてまで分かりやすい解説がなされた。

「家族図」もっと書きたくなったよ!


⑥ワークショップ「災害と地域ケア」
かしま病院 看護部 鈴木則子さん
災害時でも機能し続ける多職種による地域医療連携の方策について活発な議論がなされた。
今すぐ変えていかなければならない。
gooヘルスケア医療と健康コラムで綴った思いのとおり、
今から変えていく覚悟が固まった。

とっても有意義な議論だったので、頑張って良い報告書を完成させよね・・・Y君!

全体を通して楽しく学んでいただけたフォーラムだったと思うが、そこはしっかりフィードバックの集計結果を分析して、今後は更により良い学びの場を提供していきたい。

さて、フォーラム後は小名浜魚市場の市場食堂で海鮮三昧。
地物をめいいっぱい口に頬張れる日はまだ先になるだろうが、営業していること自体から、多くの方々の復興への努力を感じることができて嬉しかった。

帰宅後、1446分をむかえた。

黙祷の間、この6ヶ月の間に起きたことが走馬灯のように脳裏によみがえり、涙が溢れ出す・・・

しかし、その分、自分が強くなっていると信じている。

第1回 家庭医療サマー・フォーラムin福島2011@喜多方

濃い~!!と言っても、濃いのは喜多方ラーメンのスープの塩分だけではない。
去る8月27・28日に開催された「家庭医療サマー・フォーラムin福島2011@喜多方」・・・本当に内容の濃い2日間だった。

1日目>
勉強の前にはまず腹ごしらえ、というわけで地元の方々に人気の某喜多方ラーメン店に昼ラー目的に並ぶ・・・
店頭には「ラーメンの 香りただよう 蔵の町」と刻まれた石碑が・・・
ていうか行列長っ!!!
危うくフォーラムに遅刻しそうだった。
<内容>
Reflection of the Month「腰痛の治療 ~トリガーポイントと腰痛体操~」
後期研修医4年目武田仁
慢性腰痛に対する腰痛体操の有効性と、急性腰痛に対する治療の選択肢としてのトリガーポイント注射について学んだ。日常診療からわいた疑問をベースに良くまとまったプレゼンに感心しつつ、日頃なんとなくやっているトリガーポイント注射も時に「アリ」なんだな~ということが確認できた。
Reflection of the Month「ポートフォリオで遊ぼう!」
後期研修医3年目佐藤寿和
日々の学びを効率よく楽しく記録にまとめるコツが提案され、参加者に支持された感じ。それにしてもS氏には「爆弾発言キング」の称号を与えたい!
③あっちゃんの考える診断学
助教 石井敦
あたらしいコーナーとして試行させてもらったが、結構盛り上がったかも・・・
正確な診断をする上で、思い込みの危険性を認識し、患者さんの訴えと症候を一つひとつ丁寧に検証することの重要性を再確認した。幸い没企画にならず、次回以降もやっていいということなので、家庭医らしい診断学を学べるセッションとして改良していきたい。
健診・医療・介護データの医療福祉政策への活用にむけて~その1~
 助教 田中啓広
 地域住民全体の健康指標を向上させるため情報抽出が期待できるデータを共有した。とても貴重なデータで今後の解析結果が楽しみである。
Cinemeducation
 葛西 龍樹 主任教授
 オータム・イン・ニューヨーク(2000
 予防医学から緩和医療に至るまで、家庭医の役割について深い議論が展開された。

懇親夕食会では、拷問クイズ大会!!
喜多方チーム・・・ホント怖ぇ~
旨い酒を飲み過ぎて、ついつい夜(午前様)ラーへ!
人はどうして締めのラーメンを求めるのだろうか?

2日目>
午前様ラーの影響で、楽しみにしていた朝ラーを断念!
無念・・・
7時にラーメン屋に普通に並んでる喜多方市民って一体・・・

<内容>
ジェネラリストと全人医療
後期研修医4年目武田仁
ジェネラリストの歴史から現代の医療における役割に至るまで深く掘り下げてた知見が示された。普段わたしたちが目指している医療が、とても格式高いもののように感じた。
福島県における家庭医と地域包括ケア
 地域・家庭医療学講座 高栁宏史
 県内各地の各家庭医療研修サイトにおける現状と問題点を明らかにし、今後の具体的方策について提案がなされた。道は険しいかもしれないが、まずは前に進むことを始めなければいけない。