2010年8月20日金曜日

「キッズ医者かしま」 ~地域包括ケア~


去る8月14日、小学生31名を対象にした医師の職業体験プラグラム「キッズ医者かしま」が、家庭医療学専門医コースの後期研修医ら(いわきチーム)をコアスタッフとして、かしま病院で開催されました。

今は(いわきに)亡きU氏が昨年度に礎を築いてくれた遺産を引き継ぐ形で2回目の開催をむかえることができたこの企画は、子供たちがあこがれる職業を疑似体験できるテーマパーク「キッザニア」を参考にしたユニークなもので、参加者・保護者の方々から好評をいただいています。

白衣を身にまとい、聴診器を携えた子供たちが、本物の医療機材を用いて診察技術・AED(自動体外式除細器)を用いた一次救命処置などを学び、模擬患者の診療を行いました。元祖「キッザニア」同様に「遊びではなく本格的かつ真面目に」をコンセプトに、写真入りのネームプレートや研修修了証書を準備するなど一貫して本物らしさにこだわりました。
しかも、「キッズカルテ」と称した教材を全て記入すると夏休みの自由研究レポートが完成するよう美味しく工夫しました。

今後も恒例の企画として内容を充実させていきたいと考えています。

さて、このブログの一般の閲覧者の方々の中には、この企画と家庭医とは一体どんな関係があるの?と疑問を持たれた方もおられるでしょう。

これは、家庭医に求められる能力の1つである「地域を包括してケアする」ことや、患者中心の医療の方法の構成要素である「診療に予防・健康増進を取り入れる」ことと深い関係があります。

普段、自ら医療機関を訪れない地域住民の中にも隠れた多くの健康問題が潜んでいます。
今回参加してくれた小学生が学んだ血圧などに関する医学知識や、一次救命処置の技術、病院という職場への深い理解が、将来の地域住民の健康意識の向上、疾病の予防、健康増進、そして医療従事者不足という社会問題の解決に、少しでも貢献するとしたら、この企画は大成功ということになります。

キッズ医者が、いつか目の前で卒倒した家族や大切な人を救うことになるかもしれない・・・そのためにも、こういった企画を地道に継続していくことが大事だなぁ~と思います。

ちなみに当日は地元テレビ局2社、新聞社3社の取材が入り、キッズ医者たちもノリノリでインタビューに応えてくれていました。

2010年8月15日日曜日

夏期セミナー 行ってきました

こちら福島は、気温35℃というまれに見る暑さが続いております。
お盆を過ぎれば暑さも峠を越えると、地元の人たちは言ってくれるのですが、
一日でも早く涼しくなってくれないものかと、日々願っています。

さて、暑いアツいと言えば、夏期セミナー。
日本全国の学生が主体となって開催する、医学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー。
今年で第22回を数えます。

この夏期セミナー、現在活躍している家庭医の皆さんのルーツだったりします。
私もそうです。
家庭医というものを教えてくれたこのセミナーに恩返しできればと思っています。

今回、COMFAMからは「地域で家庭医は本当に役に立つのか? 地域での家庭医の役割って何だろう?」というワークショップを企画・担当させてもらいました。

実際にCOMFAMの診療拠点となっている地域の医療情勢を参考に、どんな症状ならどんな医療機関に受診するか、というワークを行った後、
では、そのような患者さんを診た家庭医として、地域にどんなことができるのかを参加者グループごとに考えていきました。

私のグループは、人口5,000人の町というセッティングでした。70代の高血圧・脳梗塞の患者さんを診た、という時に、この患者さんのケアだけでなく、地域住民の健康向上にかかわるとしたらどんなアイデアがあるだろうか、というディスカッションになりました。

参加者の学生さんからは、「小さい町だからお祭りで健康診断を併設したらどうか」「食事の準備が大変な高齢者もいるだろうから、配食サービスを始めたらどうか」「起こった後のリハビリテーション、在宅ケアの体制を整えるのも必要」という意見が出されていました。

各グループのディスカッションも盛り上がり、運営した私たちにとっても、大変学びになるワークショップでした。
参加していただいた皆さん、運営に協力してくださった皆さん、セミナーのスタッフの皆さん、ありがとうございました!

私はもう一つ、「ロールプレイで体験! 家族志向型ケア」の講師も担当しました。
家庭医にとって重要な視点である「家族を診る」ことを、ロールプレイを通して体験してもらうワークショップです。
学生時代・初期研修医時代に夏期セミナーで知り合った友人たちと企画運営しました。

ロールプレイが初めての参加者も多かったようですが、
家族図やライフサイクルを用いて仮説を立てることが、家族との面談で有意義なことを
学んでもらえたようでした。

そして夜は懇親会!
「家庭医は夜作られる」と言った家庭医がいます。
全国から集まった医学生・研修医たちが、実際に夜遅くまで家庭医と話し込んでいます。
家庭医についての疑問、質問から、実際にキャリア形成する際のアドバイス、進路の悩みなど、たくさんのことがこの懇親会の場で語られていました。

この懇親会は行く価値ありですよ。

夏期セミナーに行くと、いつも元気をもらって帰ってくる私でした。